◇「非小沢」新トロイカ模索
【明快図説】親小沢・非小沢の党内勢力
民主党の新代表に選出された菅直人前副総理兼財務相(63)は4日、衆参両院本会議で、第94代首相に指名された。菅首相は党役員・閣僚人事に着手。菅氏周辺によると、後任の財務相に野田佳彦前副財務相の昇格を検討。官房長官には仙谷由人前国家戦略担当相が固まった。党幹事長には枝野幸男前行政刷新担当相を起用する意向だが、党内には異論があり、調整を続けている。また、荒井聡前首相補佐官(64)の入閣が有力になった。菅氏は7日に党人事、8日に組閣を行う方針で、菅内閣は同日中に発足する見通しだ。【竹島一登】
鳩山由紀夫前代表、小沢一郎前幹事長とのトロイカ体制。「野党の時代にはそういう表現があったが、政権に入ってからはあまりなかった」。4日夕の記者会見で菅直人首相は、06年の小沢氏の民主党代表就任以来、党運営、政権運営の基軸となってきた3人の関係は、昨年の政権交代を機に過去のものとなったと位置づけた。
菅首相が新たなパートナーとして誇示したのは仙谷由人前国家戦略担当相、枝野幸男前行政刷新担当相。党代表選勝利後、国会内の党代表室に入った菅氏はまず2人を呼び入れ、「新トロイカ」を印象付けようとした。
菅氏は4日夕、党本部で代表就任の記者会見に臨んだ。「内閣の一体性、党としての全員参加を可能にする人事を目標に進めたい。報復(人事)は考えていない」と強調した。
しかし、仙谷、枝野両氏と、野田佳彦前副財務相は小沢氏の党運営に批判的だ。菅氏は会見で、小沢氏主導で廃止された政策調査会を復活させ、「政調会長が閣内の役職を兼ねることをもう一度検討してもいい」として国家戦略担当相などで入閣させる考えも示した。
政調廃止には「党の政策が反映できない」との不満がくすぶっていた。非小沢系の要職登用や政調復活は、党や政権運営から小沢氏の影響力排除を図りたいとの狙いがあった。
伏線がある。2日夜。仙谷、枝野氏が属する前原誠司前国土交通相のグループの会合で、前原氏は「小沢氏と手を握った上での出馬か確認したが、菅氏が『それは違う』と言った。それを信じたい」と説明。支援の条件として(1)小沢色の払しょく(2)党人事の刷新(3)日米協調の3点を提示。菅氏の側近議員によると、これを受け入れた菅氏が3日夜、東京都内のホテルで仙谷、枝野両氏と会談。この時点で「仙谷官房長官」「枝野幹事長」の構想が固まったとみられる。
菅氏の「小沢色払しょく」は参院選対策だ。参院選で惨敗すれば、求心力は急速に低下し、9月の党代表選は乗り切れず暫定政権となる可能性が高まる。局面転換には「小沢氏からの脱皮」をアピールする必要があった。
◇小沢氏「参院選後、先頭に」
「小沢路線」からの大転換を図ろうとしている、とみた小沢氏に近い議員らは反発。高嶋良充参院幹事長は記者団に対し、「枝野幹事長」情報に「露骨な論功行賞や身内だけを集めた人事をすれば由々しき事態だ」とけん制。小沢氏は「菅降ろし」ととれる言動を始めた。
「次に同じような戦いがあったとき、もう一度団結すれば過半数を制することは決して不可能ではない」。小沢氏は4日夜、小沢氏支持のグループの会合で9月の党代表選に独自候補を擁立する考えを表明した。
また、盛岡市での参院選総決起大会に寄せたビデオメッセージでは「参院選に勝利し、政権を安定させることで初めて本当の改革が実行できる。私はその時、先頭に立ってがんばっていきたい」と復権に意欲を示した。
「本格政権」を目指す菅氏と「暫定政権」にとどめようとする小沢氏の駆け引きは激化の一途をたどる。
抗争ぼっ発は、菅氏支持派にも波紋を広げた。親しい議員の一人は菅氏に「党内をまとめる上で枝野幹事長はまずい」と進言。これまで菅氏は「政治とカネ」問題でも小沢氏への直接的な批判を避け、小沢氏側に軸足をおいてきた経緯がある。「非小沢」へと急旋回すれば党内に混乱を起こし、禍根を残す−−。そんな危惧(きぐ)もじわりと広がり始めた。【須藤孝】
【関連ニュース】
【写真で見る】最初は負け戦だった 菅直人の歩み
政治:菅首相誕生でB型肝炎訴訟解決に期待 道内関係者
菅首相:誕生 市民運動が原点 さきがけ入党転機、信念は「政治主導」
100人アンケ:衆院選で民主に投票、「参院選も民主に」は半数強/容易ではない新政権の船出
菅首相誕生:「明るく、責任感強い男」中学時代の同級生が語る/表彰状なくしたエピソードも
・ 鳩山前首相、在職は266日(時事通信)
・ 菅首相会見要旨☆2(時事通信)
・ 哨戒艦沈没対応で連携確認…日韓外相が電話会談(読売新聞)
・ 運転していた男を起訴=車から振り落とし男性殺害―京都地検(時事通信)
・ <価格カルテル>カネカと三菱レイヨンに課徴金命令(毎日新聞)
【明快図説】親小沢・非小沢の党内勢力
民主党の新代表に選出された菅直人前副総理兼財務相(63)は4日、衆参両院本会議で、第94代首相に指名された。菅首相は党役員・閣僚人事に着手。菅氏周辺によると、後任の財務相に野田佳彦前副財務相の昇格を検討。官房長官には仙谷由人前国家戦略担当相が固まった。党幹事長には枝野幸男前行政刷新担当相を起用する意向だが、党内には異論があり、調整を続けている。また、荒井聡前首相補佐官(64)の入閣が有力になった。菅氏は7日に党人事、8日に組閣を行う方針で、菅内閣は同日中に発足する見通しだ。【竹島一登】
鳩山由紀夫前代表、小沢一郎前幹事長とのトロイカ体制。「野党の時代にはそういう表現があったが、政権に入ってからはあまりなかった」。4日夕の記者会見で菅直人首相は、06年の小沢氏の民主党代表就任以来、党運営、政権運営の基軸となってきた3人の関係は、昨年の政権交代を機に過去のものとなったと位置づけた。
菅首相が新たなパートナーとして誇示したのは仙谷由人前国家戦略担当相、枝野幸男前行政刷新担当相。党代表選勝利後、国会内の党代表室に入った菅氏はまず2人を呼び入れ、「新トロイカ」を印象付けようとした。
菅氏は4日夕、党本部で代表就任の記者会見に臨んだ。「内閣の一体性、党としての全員参加を可能にする人事を目標に進めたい。報復(人事)は考えていない」と強調した。
しかし、仙谷、枝野両氏と、野田佳彦前副財務相は小沢氏の党運営に批判的だ。菅氏は会見で、小沢氏主導で廃止された政策調査会を復活させ、「政調会長が閣内の役職を兼ねることをもう一度検討してもいい」として国家戦略担当相などで入閣させる考えも示した。
政調廃止には「党の政策が反映できない」との不満がくすぶっていた。非小沢系の要職登用や政調復活は、党や政権運営から小沢氏の影響力排除を図りたいとの狙いがあった。
伏線がある。2日夜。仙谷、枝野氏が属する前原誠司前国土交通相のグループの会合で、前原氏は「小沢氏と手を握った上での出馬か確認したが、菅氏が『それは違う』と言った。それを信じたい」と説明。支援の条件として(1)小沢色の払しょく(2)党人事の刷新(3)日米協調の3点を提示。菅氏の側近議員によると、これを受け入れた菅氏が3日夜、東京都内のホテルで仙谷、枝野両氏と会談。この時点で「仙谷官房長官」「枝野幹事長」の構想が固まったとみられる。
菅氏の「小沢色払しょく」は参院選対策だ。参院選で惨敗すれば、求心力は急速に低下し、9月の党代表選は乗り切れず暫定政権となる可能性が高まる。局面転換には「小沢氏からの脱皮」をアピールする必要があった。
◇小沢氏「参院選後、先頭に」
「小沢路線」からの大転換を図ろうとしている、とみた小沢氏に近い議員らは反発。高嶋良充参院幹事長は記者団に対し、「枝野幹事長」情報に「露骨な論功行賞や身内だけを集めた人事をすれば由々しき事態だ」とけん制。小沢氏は「菅降ろし」ととれる言動を始めた。
「次に同じような戦いがあったとき、もう一度団結すれば過半数を制することは決して不可能ではない」。小沢氏は4日夜、小沢氏支持のグループの会合で9月の党代表選に独自候補を擁立する考えを表明した。
また、盛岡市での参院選総決起大会に寄せたビデオメッセージでは「参院選に勝利し、政権を安定させることで初めて本当の改革が実行できる。私はその時、先頭に立ってがんばっていきたい」と復権に意欲を示した。
「本格政権」を目指す菅氏と「暫定政権」にとどめようとする小沢氏の駆け引きは激化の一途をたどる。
抗争ぼっ発は、菅氏支持派にも波紋を広げた。親しい議員の一人は菅氏に「党内をまとめる上で枝野幹事長はまずい」と進言。これまで菅氏は「政治とカネ」問題でも小沢氏への直接的な批判を避け、小沢氏側に軸足をおいてきた経緯がある。「非小沢」へと急旋回すれば党内に混乱を起こし、禍根を残す−−。そんな危惧(きぐ)もじわりと広がり始めた。【須藤孝】
【関連ニュース】
【写真で見る】最初は負け戦だった 菅直人の歩み
政治:菅首相誕生でB型肝炎訴訟解決に期待 道内関係者
菅首相:誕生 市民運動が原点 さきがけ入党転機、信念は「政治主導」
100人アンケ:衆院選で民主に投票、「参院選も民主に」は半数強/容易ではない新政権の船出
菅首相誕生:「明るく、責任感強い男」中学時代の同級生が語る/表彰状なくしたエピソードも
・ 鳩山前首相、在職は266日(時事通信)
・ 菅首相会見要旨☆2(時事通信)
・ 哨戒艦沈没対応で連携確認…日韓外相が電話会談(読売新聞)
・ 運転していた男を起訴=車から振り落とし男性殺害―京都地検(時事通信)
・ <価格カルテル>カネカと三菱レイヨンに課徴金命令(毎日新聞)
#
by bofwcd2ocl
| 2010-06-11 23:42